家づくりの考え方

「不動産バブルだから今が売り時!」に騙されるな。情弱を狙う危険な煽り広告の正体

最近よく見る「不動産バブルだから今が売り時!」広告の正体

ここ数年、SNSやYouTube、TikTok、ニュースサイトなどで「不動産バブル!今が売り時!」「ローンなしで新しい家に買い替えよう!」という派手な広告をやたら目にするようになりました。
中には「今なら老後資金も手に入る」「売れば月々の支払いゼロ」なんて夢のような言葉まで並んでいます。
しかし、それを鵜呑みにして動くと後悔する人が増えているのも現実。
結論から言えば、こうした広告は“あなたのためではなく、業者のため”に作られています。

そもそも今って「バブル」なのか?

確かに、首都圏や一部の地方都市では中古マンションや戸建の価格が上がっています。
ただし、それは「実需の高まりによる健全な上昇」ではなく、建築資材や人件費の高騰、土地不足、円安による輸入コスト上昇などの複合的な要因が主です。
一言で言えば、「物価が上がってるから家も上がってる」だけの話。
1980年代後半のような、投資マネーが不動産に殺到して値が跳ね上がる“バブル”とは根本的に違います。
それを知っていても、「今がバブルだから売り時!」という刺激的な言葉を使った方が反応が取れるため、広告業者はあえて誤解を誘うような表現をしているのです。

「ローンなしで家を買い替えられる」は幻想

よくある宣伝に「今の家を高く売れば、次の家は現金で買える!」というものがあります。
冷静に計算すれば分かりますが、そんなことができる人はほんの一握りです。
なぜなら、売却代金のうち多くは現ローンの残債返済に消えるから。
仮に4,000万円で家を買って、10年後に3,800万円で売れたとしても、ローン残高が3,200万円残っていれば手元に残るのはせいぜい数百万円です。
そこから仲介手数料や引っ越し費用、税金、次の購入諸費用を引けば、手元資金はあっという間にゼロ。
結局は再びローンを組む羽目になる。これが現実です。
「ローンなしで買い替えられる」というのは、資産数千万円を持つ富裕層だけに通用する話です。

広告の裏にある“買取業者のビジネスモデル”

多くの煽り広告の正体は「買取再販業者」です。
つまり、あなたの家を相場より安く買い取り、最低限のリフォームをして高値で転売するビジネス。
「最短3日で現金化」「仲介手数料不要」などとアピールしますが、裏を返せば“安く買うためにスピードを売りにしている”だけです。
たとえば相場4,000万円の物件を3,300万円で買い取り、4,200万円で再販すれば、手数料なしでも業者は数百万円の利益を得ます。
焦っている売主ほど「早く売れるならいいや」と妥協してしまうため、格好のターゲットになるのです。

「今がチャンス!」は業者が得をするタイミング

「今がチャンス!」というキャッチコピーほど危険な言葉はありません。
なぜなら、それはあなたが得をするチャンスではなく、業者が儲けるチャンスだからです。
業者は市場が上がりきった“天井付近”で仕入れを狙い、再販用に物件を集めたい。
だからこそ、世の中に「バブルだから今が売り時」と刷り込むのです。
情報を鵜呑みにして動く人が増えれば増えるほど、業者は仕入れに困らない。
それが“煽り広告ビジネス”の構造です。

数字で見る「買い替え損」のリアル

例えば、築10年の戸建を4,000万円で購入したAさん。
現在の相場は上がっており、査定額は3,900万円。
一見「ほとんど値下がりしていないから売り時!」に見えますが…実際は大きく損をします。

  • 住宅ローン残高:3,200万円
  • 売却価格:3,900万円
  • 売却手数料:約120万円
  • 引っ越し+リフォーム費:約80万円
  • 新居購入時の諸費用:約200万円

結果、手元に残るのはわずか300〜400万円。
その金額で次の家を“現金一括”で買えるでしょうか?当然ムリです。
それでも広告の「ローンなしで買い替え!」に乗せられて行動してしまい、結果的にまたローンを組み直す人が後を絶ちません。
しかも、買い替え時には「新しいローンの金利が上がっている」ケースも多く、支払い負担はむしろ増えることさえあります。

「高く売れても高く買う」だけの現実

不動産価格が全体的に上昇しているときに買い替えるのは、いわば物価が上がってる中で買い物をするのと同じ。
確かに今の家は高く売れますが、次の家も同じだけ値上がりしています。
そのため「利益が出た」と錯覚しても、実際は横ばい、もしくはマイナス。
一部の広告は「差額で老後資金を!」などと謳っていますが、実際に老後資金を得られる人などほとんどいません。
それどころか、税金(譲渡所得税)や買い替えコストでマイナスに転じることすらあります。

煽り広告が使う“心理テクニック”

これらの広告は非常に巧妙に作られています。
特に以下のような手法で人を焦らせ、判断を鈍らせるのです。

  • 希少性の強調:「期間限定キャンペーン」「今月中に売却すれば特典」
  • 安心感の演出:「テレビCM放映中」「大手グループ運営」
  • 損失回避バイアス:「今売らないと損します」「資産価値が下がります」
  • 即断即決の誘導:「3日以内に現金化」「最短即日契約」

こうした言葉に共通するのは、「冷静に比較検討させない」ということ。
不安を煽り、時間を与えず、勢いで契約させる。これが典型的な営業トークです。
不動産は数千万円単位の取引です。焦って即決していいものではありません。

買い替えを考えるなら“トータルで損得を試算”せよ

もし本当に買い替えを検討するなら、「売却価格−ローン残高−諸費用」の差額だけで判断してはいけません。
次に購入する家の価格、ローン条件、金利、固定資産税、保険料、将来の修繕費まで含めて“トータルで損得”を見なければ意味がありません。
たとえ手元に1,000万円残っても、新居の価格がそれ以上に上がっていたらマイナスです。
特に子育て世帯や共働き世帯は、教育費・老後資金・物価高を踏まえたキャッシュフローを確認することが必須です。

冷静な判断をするための具体的ステップ

  1. 少なくとも3社以上の不動産会社で査定を取る(1社の言葉を信じない)
  2. 「買取」ではなく「仲介」でも査定を依頼してみる
  3. ローン残高証明書を取り寄せて、正確な残債を確認する
  4. 売却時の税金や手数料をExcelなどで試算する
  5. 次の家を買う前に「いくらまでなら無理なく返せるか」をFPに相談

この5ステップを踏むだけでも、無駄な損失を防げる可能性が大きく変わります。

今の市場で「賢い選択」をするなら

本当に賢い人は、流行や広告に踊らされず、自分のライフプランを軸に判断しています。
たとえば、「あと10年は住み続けたい」「子どもが巣立ってから downsizing(住み替え)したい」といった明確な目的がある人。
逆に「みんなが売ってるから」「不動産が高騰してるから」といった“外的要因”で動く人ほど失敗します。
不動産の価値は、相場よりも「自分にとって必要かどうか」で決まるのです。

まとめ:「今がチャンス」に乗る人が、いちばんカモになる

「今がチャンス」「バブルだから売り時」「ローンなしで買い替え」——これらの言葉に共通するのは、あなたの判断を止めるための言葉です。
業者は「焦って動く人」から利益を得る。だから煽る。
市場の動きや金利はいつだって変わります。
短期的な相場に踊らされず、数字で、現実で、冷静に判断すること。
それが、あなたの資産と家族を守る最も確実な方法です。