家づくりの考え方

賃貸と持ち家どっちがいい?戸建て派が語るリアルなメリット・デメリットと価値観で選ぶコツ

家づくりを考えるとき、誰もが一度は悩むのが「賃貸と持ち家、どっちが得か?」という問題。最近はSNSなどでも「賃貸派」と「持ち家派」で意見が真っ二つに分かれています。しかし、暮らし方や価値観によって“正解”は人それぞれ

本記事では、実家も戸建て育ちで、アウトドアやキャンプが趣味の筆者が、「やっぱり自分は持ち家(戸建て)派だな」と感じる理由を、メリット・デメリットの両面から掘り下げます。最後は賃貸派にも寄り添い、それぞれの価値観に合わせて選ぶのがいちばんという結論で締めます。

賃貸のメリット・デメリットを冷静に整理してみる

賃貸のメリット

  • 初期費用が少なく身軽:頭金が不要で住み替えがしやすい。転勤やライフイベントに柔軟に対応できる。
  • 修繕費がかからない:壁紙や水回りなどの基本的なメンテは大家・管理会社負担。手間をかけたくない人に安心。
  • 税・保険の負担が軽い:固定資産税が不要で、家計の月次コストが読みやすい。

賃貸のデメリット

  • 家賃が“永遠の支出”:何年住んでも資産にならず、老後も家賃を払い続ける不安が残る。
  • 自由度が低い:穴あけ不可、DIY不可、ペット不可など。内装・間取りを“自分仕様”に育てにくい。
  • 収納が少ないことが多い:特にマンション系賃貸は趣味道具の保管に苦労する。

持ち家(特に戸建て)の魅力とリアルなメリット

自分好みの空間を“育てていける”

最大の魅力はやはり自由度。壁を塗る、棚を作る、ウッドデッキを増設する――そんなDIYの楽しみが詰まっています。実家が戸建てだった筆者は「家=手を加えて育てるもの」という感覚が強く、週末に玄関まわりを整えたり、収納を作ったりする小さな工夫が生活の満足度を押し上げます。

荷物の出し入れが圧倒的にラク(キャンプ民の最重要ポイント)

テント、チェア、焚き火台、クーラーボックスなどアウトドア用品は“かさばる”が前提。マンションだとエレベーター&共用廊下の移動が地味に大変。戸建てなら玄関からそのまま車へ積み込み可能で、週末の出発が段違いにスムーズ。ガレージや庭があれば、帰宅後に広げて天日干しもラクです。

騒音ストレスが少ない

集合住宅のように上下左右の生活音に気を遣う場面が減り、子どもが走り回っても映画を少し大きめに観ても気楽。「音を気にせず暮らせる自由」は想像以上に快適です。

長期的には資産として残る

ローンを完済すれば「自分の資産」が残ります。維持費はかかるものの、老後に家賃ゼロで住み続けられる心理的安心は大きい。リフォームやリノベで価値の維持・向上も狙えます。

持ち家のデメリットと、どう付き合うか

固定費がかかる

固定資産税・メンテ費・保険など、毎年のコストは無視できません。屋根や外壁の塗り替え、給湯器の交換など、10年スパンで数十万円単位の支出も。ただしこれは「賃貸の家賃」に置き換えて考えれば、住むための費用は結局かかるという同質の話。違いは、持ち家では支出が住まいという資産に変換される点です。

住み替えの柔軟性が低い

転勤・家族構成の変化などに対し、賃貸ほどの即応性はありません。とはいえ近年は「売る」「貸す」というオプションも一般的で、昔ほど“身動きが取れない”時代ではありません。購入前に出口戦略(売却しやすい立地・間取りか等)を意識しておくと安心です。

隣人ガチャのリスク

意外と見落としがちなのが「隣人ガチャ」。どれだけ理想の土地や間取りを手に入れても、隣人との相性が悪ければ日々の快適さは一気に崩れます。戸建てはマンションのような管理組合・管理人の常駐が基本なく、トラブル発生時は自己解決になりがち。

  • 深夜の騒音・路上駐車・ゴミ出しマナーなど生活ルールの相違
  • 境界・樹木越境・日照を巡るトラブル
  • 地域行事や自治会参加の温度感のズレ

賃貸なら「合わなければ引っ越す」で済む一方、持ち家では簡単に環境を変えられません。購入前は昼夜・平日休日の時間帯を変えて現地確認し、地域の雰囲気・交通量・騒音・匂い(飲食店・工場)・生活リズムを肌でチェックしましょう。

家は変えられても、隣人は選べない。

ローンのプレッシャー

「35年ローン」という言葉に構えてしまいがちですが、繰り上げ返済や借り換えで圧縮も可能。固定/変動のリスク分散や、返済比率の健全化(手取りの○割目安など)を意識すれば、ローン=一生の足かせとは限りません。

戸建ての暮らしが“趣味の自由”を広げる

  • 車の横でキャンプ道具の整備:積み下ろしがワンアクション。遠征前後の疲労が段違い。
  • 庭でBBQ・焚き火(条例・近隣配慮は必須):家が趣味の延長線に。
  • ガレージ改造でワークスペース:DIYやメンテの拠点を「常設」できる。

賃貸では「棚を付けたい」「塗装したい」などの自由度が低く、退去原状回復の心配も。戸建ては“暮らしをデザインする自由”を最大化できる点が魅力です。

結局どっちがいい?価値観で選ぶのが正解

最終的に「賃貸vs持ち家」は、損得だけでなく“価値観”の問題です。たとえば——

賃貸が合う価値観の例

  • 身軽さ重視:人生の変化に合わせて住む場所を変えたい/転勤・転職の可能性が高い。
  • 経験・体験優先:住まいより旅行・学び・趣味に資源を配分したい。
  • 保守性(手間を避けたい):修繕やメンテ・税などの煩雑さから距離を置きたい。
  • 都市近接の機動力:都心の利便性を最優先、狭くてもアクセス命。

持ち家(戸建て)が合う価値観の例

  • 安定・安心重視:老後の住まいコストを最小化したい/拠点を定めたい。
  • 空間編集欲求:DIY・リノベで「自分仕様」に育てたい。
  • 趣味と暮らしの一体化:キャンプ道具の保管・積み下ろしやガレージ活用を日常にしたい。
  • 音・外遊びの自由度:子どもやペットと伸び伸び暮らしたい。

変化を楽しみたい人には賃貸、暮らしを育てたい人には持ち家。どちらが“正解”ではなく、ライフステージや優先順位の違いで選ぶのが健全です。

まとめ:家は“消費”ではなく“体験”の舞台

賃貸か持ち家か――一見「お金の話」に見えて、実は「どんな暮らしをしたいか」という価値観の話。アウトドア好き・ものづくり好きで家に手をかけるのが苦にならないタイプなら、戸建ての持ち家は最高の選択肢です。多少の手間や費用があっても、その分暮らしの自由度自分の居場所が手に入ります。

一方、変化の多い人生を軽やかに楽しみたい人には、賃貸という“自由なチケット”が強力な味方になります。

家は“買う”ものではなく、“どう使いこなすか”。

この視点を持てば、自分にとっていちばん心地よい住まいの選び方がきっと見えてきます。