はじめに
家づくりを始めると、まず悩むのが「どの会社にお願いするか」。
地元の工務店、全国展開のハウスメーカー、設計事務所…それぞれに魅力があります。
ただし、どの段階までなら自由に検討・キャンセルができるのかを知らずに進めると、「もう引き返せない」と後悔することも。
この記事では、土地探しを除いた「家づくり全体の工程」を整理しながら、
「この段階までは悩んでOK」「ここから先はキャンセルに費用が発生する」
という境界を明確に解説します。
家づくりの全体フロー(土地を除く)
一般的な注文住宅の流れは以下のようになります。
- ① 資金計画・情報収集
- ② 会社選び・複数社への相談
- ③ ヒアリング・プラン提案
- ④ 仮契約(申込)
- ⑤ 詳細設計・見積り確定
- ⑥ 本契約(請負契約)
- ⑦ 着工準備・建築確認申請
- ⑧ 着工・上棟・完成
- ⑨ 引き渡し・アフターサポート
それぞれの段階ごとに、「まだ悩めるか?」「キャンセルできるか?」を見ていきましょう。
① 資金計画・情報収集段階:自由に比較OK
この段階では、まだ「資料請求」や「見学会」「相談会」に参加しているだけなので、完全に自由です。
住宅展示場で話を聞いても、プランをもらっても契約ではありません。
費用は一切かからず、複数社を比較して問題ありません。
② 会社選び・複数社への相談:見積比較もOK
2〜3社に絞って「ヒアリング」や「ラフプラン」「概算見積り」を依頼する段階。
この段階も基本的に無料でキャンセル可能です。
ただし、以下のような場合には注意が必要です:
- 詳細な設計図を依頼する際に「設計申込金」や「調査費用」を求められることがある
- 土地調査や地盤調査を依頼した場合は、その実費が発生することがある
この段階では、「お金を支払っていなければ、キャンセル自由」が基本です。
③ ヒアリング・プラン提案段階:軽い申込金に注意
本格的に間取りを描いてもらう段階に進むと、「申込金」「設計申込」と呼ばれる契約が出てきます。
これは「仮契約」に近い位置づけで、10〜30万円ほどの金額を求められることが一般的です。
申込金を支払った場合、会社側も本格的な設計や構造検討を始めるため、
キャンセルは可能ですが、返金されない場合が多いです。
ここから先は「悩む」ことはできても、「切り替える」にはリスクが出てきます。
④ 仮契約(設計申込・申込契約):ここが分かれ目!
この段階が、「キャンセルできる最後の境界線」です。
仮契約の段階では、正式な工事契約ではないため、解約自体は可能。
ただし、支払った申込金や設計費用は原則返金されません。
この時点で他社に乗り換えたい場合は、
「他社で建てる決意が固まってから」キャンセルを伝えるようにしましょう。
⑤ 詳細設計・見積り確定:変更は難しくなる
仮契約後は、住宅設備や外観、構造、間取りを細かく詰めていく段階です。
このタイミングでのキャンセルは可能ではありますが、実費精算が必要になることが多く、
数十万円〜数百万円規模のキャンセル料が発生する可能性もあります。
また、住宅ローンの事前審査を行うケースもあり、手戻りが大きくなるため、ここまで来たら慎重に進めましょう。
⑥ 本契約(請負契約):キャンセル=違約金が発生
正式な「建築請負契約」を締結した段階です。
この契約を結ぶと、法的に「建築工事を依頼する約束」が成立します。
そのため、キャンセル=契約解除となり、
民法に基づいて違約金(通常は請負金額の5〜10%)が発生します。
数百万円単位になることもあり、ここからはほぼ後戻りできません。
⑦〜⑧ 着工以降:キャンセルは実質不可
工事が始まると、資材の発注・職人の手配・許認可の申請などが進んでおり、
キャンセルしてもほぼ全額負担になります。
この段階では「変更」「仕様調整」は可能でも「キャンセル」は不可能と考えてください。
⑨ 引き渡し後:契約解除はできないが保証対応は可能
引き渡し後は契約が完了しています。
ただし、建物の瑕疵(欠陥)やアフターサービスに関しては
各社の保証制度や住宅瑕疵担保履行法に基づいて対応してもらえます。
まとめ:悩んでいいのは「仮契約」まで
| 工程 | キャンセル可否 | 費用の有無 |
|---|---|---|
| ① 資金計画・情報収集 | ◎自由 | なし |
| ② 複数社相談・見積比較 | ◎自由 | なし(調査依頼時は実費) |
| ③ プラン提案・申込前 | ◯自由 | 設計依頼費が発生する場合あり |
| ④ 仮契約(申込契約) | △可だが返金なし | 申込金10〜30万円 |
| ⑤ 詳細設計・見積確定 | △可だが実費請求あり | 数十万円〜 |
| ⑥ 本契約(請負契約) | ×不可(違約金発生) | 契約金額の5〜10% |
| ⑦〜⑧ 着工〜完成 | ×不可 | 全額負担 |
後悔しないためのポイント
- 申込金を払う前に「返金可否」「設計の範囲」を必ず確認する
- 契約書や見積書に「キャンセル時の扱い」が明記されているかチェック
- 「仮契約」と「本契約」はまったく別物と理解しておく
- 営業担当が「いつでもキャンセルできます」と言ったら、その文言をメールなどで残す
まとめ
家づくりは一生に一度の大きな買い物。
気に入った工務店・ハウスメーカーがあっても、申込金を支払う前までは自由に比較してOKです。
逆に言えば、仮契約以降は慎重に進める必要があります。
焦らず、納得できるパートナーを選ぶことが、満足のいく家づくりへの第一歩です。






